米国関連情報
1. 出願段階
(1) 出願時の提出書類
- 明細書・クレーム・要約・必要な図面
- 発明者宣誓書(Declaration)及び委任状(Power of Attorney)
- 譲渡証(Assignment)
- IDS(出願日から3カ月以内に提出することが好ましい)
(2) 出願の種類
- 通常出願 (仮出願以外)
- 仮出願
- 継続出願(CA)、分割出願(DA)、一部継続出願(CIP)
- PCT出願からの移行
(3) PCT出願からの移行手続き
(3-1) 国内段階移行期限: 優先日から30ヶ月以内
- 出願の英訳が優先日から30カ月以内に提出されなかった場合、国内手数料の支払いを条件に、特許庁からの通知の日から2ヶ月以内、若しくは優先日から32ヶ月以内の、いずれか遅い日までに英語の翻訳文の提出可能(なお、さらに、6カ月の延長が可能)。
(3-2) 提出すべき書類(上記以外)
- 19条補正の写し、およびその英訳
- 国際予備審査報告の附属書類(34条補正等)
(3-3) その他
- 継続出願またはCIP出願を行う、バイパス継続出願も可能。この場合、バイパス継続出願の米国出願日に102条(e)の後願排除の効力が認められる。
(4) 注意事項
- 英語以外の言語でも出願可能(ただし、この場合、所定の期間内に英語の翻訳文、および、翻訳文が正確であることを示した陳述書の提出が必要)。仮出願(Provisional application)も英語以外の言語で出願可能。
- 優先権証明書の提出は不要。
- クレーム中における独立項数が3を超える場合、請求項数が20を超える場合は、追加料金が発生。多項従属クレームを含む場合も、追加料金が発生。
- 2以上のクレームを引用する多項従属クレームで、他の多項従属クレームを引用しているものは認められない(マルチのマルチは不可)
2. 出願後の各種手続き
(1) 審査請求制度なし
(2) 限定要求/選択要求
(2-1) 応答期間
- 電話による限定要求を受けた場合: 通常、実働3日の猶予
- 書面による限定要求を受けた場合: 1ヶ月の応答期間(最大5ヶ月まで延長可能)
(2-2) 限定要求後の手続き
- 選択しなかった発明に関して権利化を希望する場合は、原則として分割出願が必要。
(3) 拒絶理由対応
(3-1) 応答期間
- 発行日から3ヵ月間。1ヵ月ごとに最大3ヵ月まで延長可能(延長の申請は事後で可)
- 延長費用
・1ヶ月延長した場合: $ 130
・2ヶ月延長した場合: $ 490
・3ヶ月延長した場合: $ 1110 - 方式的拒絶理由しか含まれていない場合は、対応期間は2カ月。
(3-2) ファイナルオフィスアクション(最終拒絶通知)での注意点
- 応答期間は最大6カ月あるが、この期間内に許可通知を得られる状態にすることが必要。6カ月以内に許可通知が得られないと考える場合、RCE、継続出願、審判請求などの手続きを行う必要あり。
- 最終拒絶通知に対応の後、拒絶が解消していないと、アドバイザリー通知が発行される。ただし、応答を6カ月ギリギリでしたような場合、アドバイザリー通知を待たずに、RCE、継続出願、審判請求などをする必要がある。
- アクションの発行から2カ月以内に対応すれば、アドバイザリー通知が3カ月を経過して発行された場合、その発行日から延長手数料が発生し、手数料の軽減になる。
(3-3) アドバイザリー通知での注意点
- 通常、RCE、審判請求、継続出願、一部継続出願、分割出願などを行い対応する。
- 一部のクレームが許可されている場合は、許可されていないクレームを削除する補正は認められる。
(4) 補正ができる時期および範囲
(4-1) 補正ができる時期
- 最終拒絶通知を受ける前
- 最終拒絶通知を受けた後(ただし、クレームをキャンセルする等の所定の事項に限られる)
(4-2) 補正の内容的制限
- 出願当初の明細書に記載されていない新規事項を追加する補正は不可。
- 最終拒絶通知に対する補正は、原則、クレームの削除、審査官から要求された形式への補正のみが認められる。新規争点(new issue)を提起するような補正は不可。
(4-3) 補正の様式
補正書では、以下のいずれかの記載を付して補正クレームを明確にする必要がある。
「Original」: 出願当初から変更のないクレーム
「Currently amended」: 今回補正されたクレーム
「Canceled」: 削除されたクレーム
「Withdrawn」: 選択されなかったクレーム
「Previously presented」: 以前追加されたクレーム
「New」: 今回追加されたクレーム
「Not entered」: 審査官によって受け入れられなかったクレーム
(5) 審判請求
(5-1) 審判手続き
- 最終拒絶通知に対する応答期間内に審判請求書を提出。合わせて、審判請求料を納付する。
- 審判請求から2カ月以内に審判理由書を提出する必要あり。この期間は最大で5カ月まで延長可能。
- 審判では自由に補正することはできない。審判請求後、審判理由書の提出前においては、最終拒絶通知に対して認められる範囲の補正ならば、認められる。審判理由書の提出後であれば、クレームの削除、従属クレームを独立クレームに書き直す補正が認められる。
(5-2) 審判前会議(Pre Appeal Brief Conference)
- 審判請求時に、審判前会議の請求をすることができる。
<その他>
(1) 早期審査制度あり
- 出願人の年齢や、健康を理由に、早期審査請求可能。
- 特許審査ハイウェイに基づく早期審査請求可能。
(2) IDSの提出
(提出時期)
期間A: 出願日から3カ月以内、または、ファーストオフィスアクションの発行前のいずれか遅い方
期間B: 期間Aの経過後、ファイナルオフィスアクションの発行前、または許可通知のいずれか早い方
期間C: 期間Bの経過後、特許発行料の支払いまで
期間D: 期間Cの経過後、特許発行まで
(提出要件)
期間Aの場合: 要件なし
期間Bの場合: 陳情書(CRF1.97(e))、または、手数料の支払い
期間Cの場合: 陳情書(CRF1.97(e))、および、手数料の支払い
期間Dの場合: 特許発行の取下げ後、継続出願または継続審査請求、および、手数料の支払い