EP出願関連
1. 出願段階
(1) 出願時の提出書類
- 願書(Request)(Form1001)
代理人が署名可能。 - 明細書(Specification)
- クレーム(Claims)
- 要約(Abstract)
- 必要な図面( Drawings)
(2) PCT出願からの移行手続き
(2-1)国内段階移行期限
- 優先日から31ヶ月以内に行わなければならない。なお、期限を過ぎた場合は、EPOから通知がなされ、出願人はその通知の日から2ヶ月以内に翻訳文を提出することが可能(ただし、追加料金必要)。
- 国内段階移行時に受けるRule161EPC(請求の範囲の補正)の応答期間は6カ月(2011年5月1日より1カ月から6カ月に延長)。EPOが国際調査機関でない場合は、Rule161EPCで補正したクレーム内容に基づいて、補充的調査報告(Supplementary Search Report)が行われる。
(2-2)提出すべき書類(上記書類以外)
- 19条補正書・陳述書
- 34条補正書等
(3) 注意事項
- 委任状、優先権証明書の提出は不要。
- 優先権証明書の翻訳文:審査官から提出要求された場合のみ提出。
- 日本語の明細書等でも出願可能。この場合、出願日から2ヶ月以内に翻訳文(英語、ドイツ語又はフランス語による翻訳文)の提出必要。この期間内に提出できなかった場合には、提出指令書から2ヶ月以内に提出可能。(ただし、PCT出願の場合は適用されない)
- 出願料金及びサーチ料金は、出願日から1ヶ月以内に支払う必要あり。出願日から1ヶ月以内に納付できなかった場合、特許庁の通知を受けた日から2ヶ月以内に割り増し料金を納付することにより、納付可能。
- 2009年4月1日以後に出願(PCT出願においては欧州移行)においては、指定国料金が一律525ユーロ(ただし、拡張国(AL(アルバニア)・BA(ボスニア・ヘルツェゴビナ)・RS(セルビア)・ME(モンテネグロ))に関しては別途費用が必要)。
- 16クレーム〜50クレームまでは、1クレーム毎にEUR 200.00の追加料金が必要。51クレーム以上は、1クレーム毎にEUR 500.00が加算。
- 35ページ目を超えた36ページ目より、1頁毎にEUR 12.00が加算。
2. 出願後の各種手続き
(1) 審査請求
- サーチレポートが公開された日から6カ月以内。
- PCT出願の場合には、国際調査報告の公開から6ヶ月、または優先日から31ヶ月のいずれか遅いときまでに、審査請求。
- 審査請求がされなかった場合、欧州特許庁から出願人に通知あり。通知から1カ月以内であれば、追加料金と共に審査請求可能。
(2) 拒絶理由対応
- 応答期間として通常4ヶ月。請求により延長可能。
- 延長された期間が、トータルで6ヶ月を超えない場合には、特段の理由がなくても受理される。超える場合は、特段の理由が必要。
- 拒絶理由に「最初」「最後」という区別がない。拒絶通知と応答が複数回にわたって繰り返される。
- 最初の通知後、一度に限り、応答と同時に補正書を提出することができる。最初の応答後は審査官の同意がなければ補正をすることができない。
(3) 補正ができる時期と範囲
(3-1) 補正の時期的制限
- サーチレポートを受け取る前は、原則、補正不可。
- サーチレポートを受け取った後、審査部からの最初の通知前においては、自発的に補正可能。
- 最初の通知があったときは、応答と同時に、1回のみ補正可能。
- 最初の通知に応答した後は、審査部の同意を得た場合に限り、補正可能。
- Euro-PCT出願の場合、出願人へ補正に関する通知がなされ、この通知から6ヶ月以内(延長不可)に限り補正可能。また、拡張サーチレポートに対する対応期間内において、補正可能。
(3-2) 補正の内容的制限
- 調査されていない内容を補正によりクレームアップすることは不可。
- 出願当初の開示内容を超えるものであってはならない。
- 補正を行う場合、補正箇所をサポートする明細書中の記載の明示が必要。
(4) 審判請求
- 決定の発送日から2カ月以内に審判請求書を提出。審判請求料の支払いも必要。
- 審判の理由を記載した書面は、決定の通知の日から4ヶ月以内に提出。
<その他>
(1) 分割出願
- 出願が係属中であり、以下のいずれかの期間内であれば、分割出願可能。
(i) 先の出願(親出願)に関する最初の審査通知のあった日から24カ月以内
(ii) 先の出願(親出願)に対して、発明の単一性を満たしていないことを指摘した最初の審査通知のあった日から24ヶ月以内(ただし、審査部からの実体的な審査通知のみがその対象となる)。
(2) 早期審査制度あり(PACE PROGRAM)
- 申請に当たって、追加料金なし。
(3) 処理続行手続き(Further Processing)
- 出願拒絶の査定、または、出願が取下げとみなされる旨の通知のあった日から2カ月以内に限り、権利回復を求めた請求が可能。
- ただし、優先権主張期限、審判請求期限などに関しては、適用されない。
(4) 発明の単一性
(4-1)通常出願の場合
- 出願当初のクレームがRule 43(2)EPCを満たしていないと判断された場合、EPOは、出願人に2ヵ月間の猶予を与える。その間に、出願人は、サーチの対象とすべきクレームを選択する必要がある。期間内に対応しない場合、各カテゴリの最初のクレームに対してサーチが行われる。
(4-2)Euro-PCT出願の場合
- EPOが国際調査を行わなかったEuro-PCT出願の場合、EPOによって補充的調査報告が作成される。この補充的な調査において、出願の単一性を満たしていなかった場合、EPOは特許請求の範囲に記載された最初の発明に関してのみ、補充的調査報告(Supplementary Search Report)を作成する。つまり、出願人は更なる調査を請求する機会がない。
この場合、サーチされなかった発明について、権利化を望む場合、分割出願をする必要がある。
(5) 欧州拡張サーチレポート(EESR)への応答の義務化
- 出願人は、EESRに対して応答する義務がある。応答を行わなかった場合、出願は取り下げられたものとみなされる。
(6) 料金表
- 出願料:190ユーロ(オンライン出願:105ユーロ)
- サーチ料:1105ユーロ
- 指定料:525ユーロ
- 実体審査請求:1480ユーロ