インド出願関連
1. 出願段階
(1) 出願時の提出書類
- 願書
- 明細書およびクレーム
- 要約書
- 必要な図面(Drawings)
- 委任状(Power of Attorney)(特許許可を受ける前にいつでも提出可能)
- 優先権証明書(Priority Document) (出願日から6ヶ月以内に提出可能)
(2) PCT出願からの移行手続き
(2-1) 国内段階移行期限
- 優先日から31ヶ月以内に、英語による翻訳文を提出しなければならない(翻訳期間の延長なし)。
(2-2) 提出すべき書類(上記以外)
- 19条や34条補正がされた場合、国際出願時の請求の範囲及び補正後の翻訳文
(3) 注意事項
- 優先権証明書の提出必要(英語での翻訳文必要)。インド特許庁から出願人に対する書類提出の要求がなされた日から3カ月以内に提出可能。
- 対応外国出願に関する情報(出願番号、出願国、出願日、審査の状況、サーチレポートなどに関する情報)の提供必要。出願日から6カ月以内(延長可能)。
- 明細書の種類として、仮明細書と完全明細書とがある。発明の性質を示した仮明細書には、クレームが含まれていなくてもよい。仮明細書を提出することによって、その発明の優先日を得ることができる。なお、仮明細書の提出日から12カ月以内に完全明細書を提出しなければならない。また、仮明細書は、パリ条約に基づく出願やPCT出願においては提出することができない。
- クレームの従属項として、いわゆる「マルチのマルチ」の記載可能。
- インドには、特許庁が4箇所あり、代理人の居住地により特許庁が決まる。
2.出願後の各種手続き
(1) 審査請求
- 出願の優先日または出願日のいずれか早い日から4年以内に審査請求の請求可能。
- 出願人または利害関係人が審査請求を行うことが可能。
- PCT出願の場合、出願手続きは、その優先日から31カ月経過後でなければ開始されない。なお、31カ月経過前であっても、早期処理または早期審査を求めることが可能。
(2) 拒絶理由対応
- 初回拒絶理由通知は、審査請求日または公開日のいずれか遅い日から6カ月以内に発行される。
- 出願人は、拒絶理由通知から12カ月以内に出願を許可される状態にしなければならない。原則、期間の延長はなし。許可される状態にできなければ、出願は放棄されたものとみなされる。
- 拒絶理由通知の数は決まっておらず、上記12カ月の期間の間であれば、何度でも拒絶理由通知を出してもらうことは可能。
- ただし、意見書を提出した場合でもあっても、審査官がすぐに次の拒絶理由通知を出してくれるわけではない。必要に応じて、現地代理人を通して、審査官に審査の状況を問い合わせることが重要。
- 出願人は審査官の報告に不服がある場合には特許庁長官にヒアリングを請求できる。ただし、初回拒絶理由通知の発行日から12カ月の期間が満了する少なくとも10日前までに行うことが必要。
(3) 補正ができる範囲
(3-1) 補正の内容的制限
- 出願時の開示範囲を超えた補正は認められない。
(4) 不服申し立て
- 出願が拒絶された場合、再審査請求や審判請求が可能。
<その他>
(1) 分割出願
(1-1) 分割出願の時期的要件
- 分割出願は、親出願が特許付与前に行う必要がある。
(1-2) 注意事項
- 分割出願の審査請求は、親出願の優先日から48カ月、または、分割出願の出願日から6カ月のうち早い日までにしなければならない。
(2) 異議申立
(2-1) 付与前異議申立
- 何人も、出願の公開から特許付与まで、いつでも付与前異議申立を提起できる。
- 申立の際には、異議申立の理由および証拠が記された書面を提出する。
- 出願人は、特許庁長官より送付された異議申立の書面を受領した日から3カ月以内に答弁書を提出しなければならない。
- 庁費用は無料。
(2-2) 付与後異議申立
- 特許付与がなされて12カ月以内に、利害関係人が付与後異議申立を提起できる。
- 申立の際には、異議申立の理由および証拠が記された書面を提出する。
- 特許権者は、異議申立人主張書面の副本受領日から2カ月以内に答弁書を提出しなければならない。
- 異議申立人は、さらに1カ月以内に特許権者の答弁書に弁駁できる。
(3) 出願公開制度
- 優先日または最初のインド出願日から18カ月後に公開される。PCT国内移行出願はインド移行後すぐにインドで再度公開される。
- 公開される内容は、タイトル、要約書、発明者名、出願人名のみが公開される。出願内容を知りたい場合(クレームをチェックしたい場合)は、特許庁から出願書類を取り寄せる必要がある。
- 早期公開制度あり。
(4) 拡大先願に関する規定
- 出願人または発明者同一の場合であっても、拡大先願が適用される。
(5) 強制ライセンス
- 何人も以下の理由のうちいずれかの理由に基づき、特許付与の日から3年以後の特許発明実施のための強制ライセンスの許可を申請することができる。
①特許発明に関し、公衆の合理的な要求を満たしていない。
②特許発明が合理的な価格で公衆に利用可能でない。
③特許発明がインド国内で実施されていない。 - ただし、強制ライセンスが設定されたことは現在までない。
(6) 商業的実施に係る年次(定期)報告書
- 特許発明のインド国内における商業活動に関する報告書を、定期的(1年に一度)に特許庁に提出する必要がある。
- 報告書の提出は暦年末日から3カ月以内、または特許庁からの要求があったときに提出する。
- 意図的に間違った情報を提出した場合、または、報告書を提出しなかった場合、罰則規定(例えば、罰金、懲役、特許の取消)あり。