新規性喪失の例外規定

[4] 新規性喪失の例外規定

(1) 規定の趣旨

上述した特許要件に記載したように、新規性を有しない発明は、発明の公開の代償として特許権を付与するという特許制度の趣旨から特許を受けることができない(特許法第29条1項各号)。
しかしながら、新規性を有しない発明であっても、例えば、発明者が学会や論文で発表した発明についても特許を受けることができないとすると、発明者に酷に過ぎる場合がある。
そこで、特許法では、第三者に不足の不利益を与えない範囲で、一定条件下で発明の新規性の喪失の例外を認めている(特許法第30条)。

(2) 手続

新規性喪失の例外規定の適用を受けることのできる発明は、以下のような発明であって、この適用を受けようとする者は、新規性を喪失に至った日から6月以内に、その者(特許を受ける権利を有する者)が特許出願をし、かつ、下記の(ア)または(ウ)の発明においては、その旨を特許出願時に書面をもって提出し、30日以内にその事実を証明する書面を提出する必要がある。

(ア) 特許を受ける権利を有する者が試験を行い、刊行物に発表し、電気通信回線を通じて発表し、または特許庁長官が指定する学術団体が開催する研究集会において文書をもって発表したことにより新規性を喪失した発明(特許法第30条1項)
(イ) 特許を受ける権利を有する者の意に反して新規性を喪失した発明(同条2項)
(ウ) 特許を受ける権利を有する者が政府等または特許庁長官が指定する博覧会に出品することにより新規性を喪失した発明(同条3項)

(3) 効果

新規性喪失の例外規定の適用を受けることにより、特許出願に係る発明の新規性および進歩性の判断において、発表等により新規性を喪失した発明が特許法第29条1項各号の一に該当しなかったものとして取扱われる。

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